MAKAROV PM (頑住吉ガレージキット改 AIR GUN)

 第2次世界大戦時、ソ連軍はトカレフTT-33を制式拳銃としていましたが、ボトルネックが特徴的なその7.62mm×25弾薬は、ハンドガン用としては強力すぎ、反動が大きいため2弾目以降の射撃が遅れることや、人体を容易に貫通してしまうため、マンストッピングパワーに欠ける等の問題がありました。
 それらの欠点を踏まえて、1951年に採用されたのがマカロフ・ピストルです。全体的にワルサーPPの影響を強く受け、外観はもとより分解方法なども酷似しています。弾薬は9mm×18、通称9mmマカロフを使用。これは380ACPよりも少し強力な程度で、トカレフとは打って変わって軍用拳銃としては比較的非力な部類に入ります。しかしトカレフと比較してマイルドな撃ち味(その結果、命中精度が向上)、口径の大型化によるマンストッピングパワーの増大、さらにショートリコイルを必要としないために銃の構造を単純化できたことなど、開発意図からすると成功を収めたといえるでしょう。
 ちなみに、マカロフとほぼ同時期に開発されていた拳銃に「スチェッキン」ピストルがあります。これはセレクター操作によりセミ・フル切り替えができるマシンピストルで、使用弾薬は同じく9mmマカロフでした。本来この2種の拳銃はセットで開発され、マカロフは将校等の護身用や公用として、本格的なサイドアームとしてはスチェッキンが割り当てられる予定だったようです。しかし、前述の通り9mmマカロフ弾が軍用として非力であったため、製造コストが高くつく割には中途半端なフルオート拳銃にしかならなかったらしく、採用は特殊部隊などの小規模に止まりました。「小型でフルオート」という役割は折り畳みストックのAK47Sに譲られ、拳銃は将校に限らず全般的にマカロフが採用されました。非力とわかっていて採用してしまうのもどうかとは思いますが、当時はそれだけ拳銃が重要視されていなかったということでしょう。拳銃に注目が集まるのはもっとも近年、戦車を擁した大軍同士ではなく、テロリストとのマクロ的な戦闘が重要視されるようになってからです。
 そんなマカロフも、80年代に入るとより強力な弾薬の開発とともに改良が加えられ、正式拳銃の座をMP443グラッチに譲った今現在も、ロシア国内はもとより、多くの周辺国で活躍しています。

 そんなマカロフ・ピストルをガレージキットで発売してしまったのが頑住吉氏。アカデミー社のエアコッキングガンのメカを使用し、それに被せるガワという形式でモデルアップされています。材質は無発泡ウレタン、いわゆるプラキャストなので強度的な不安や、ヒケや気泡がどうしても発生してしまうなど、マイナスポイントもアレコレありますが、大手メーカーからはまず製品化されないであろうマイナー銃が入手できるのは嬉しいことです。
 キットと完成品の2種が発売されていますが、私は決まってキットを買って好きなように手を入れて組み立てるほうです。もちろん、価格の安さも魅力的ですが、いわゆるモデルガンキットやプラモデルのように簡単に組めるわけではありませんので、価格の安さだけでキットを購入するのはおすすめできません。

 組み立てに伴って加工した箇所は多岐に渡るため書ききれませんが、大きな改造箇所をあげておきます。
 まずは内部ユニットの固定方法。キットではフレーム外部に露出するピン2本で内部ユニットを固定していましたが、気に入らなかったのでユニット前端をフレームに引っ掛け、グリップ後部のツメで固定する方法に変更しました。これで実銃にないピンは排除できます。
 次にスライド上面の反射止めの形状ですが、キットでは原型の都合上チェッカーにアレンジされていましたが、実銃ではワルサーPP系同様波模様になっています。エアコッキングガンからこの部分を切り出し、貼り付けて整形しています。
 セイフティレバーはスライドと一体成型になっていました。内部にはシリンダーががあるためレバーを稼動させることはできませんし、コッキング時に力がかかることを考えれば一体成型も悪くはありません。しかし、どうも立体感に乏しく、いかにも一体成型であることが誤魔化し切れなかったので、セレーションより後ろを全て削り落とし、新規に制作しました。レバーにクリックを利かせるノッチの形状も実銃写真を参考に修整してみました。スライドストップのレバーも同じく一度切り離して再接着。多少はリアルになりました。
 マガジンはアカデミー独特のL型でしたが、内部ユニットの加工次第ではほぼフルサイズ化できそうだったのでやってみました。形状も残弾確認の窓を再現し、かなりリアルになったと思います。内部には鉛のブロックを仕込んでいますので、重量アップにも貢献。
 他にもあちこちウェイトを仕込んで重量アップを図りました。アウターバレルはジャンク箱の中から使えそうな物を発掘したスチール製で、同じくジャンクの真鍮インナーバレルとともにフロント部の重量を稼いでいます。
 全体の塗装は鉄色倶楽部の黒組を使用し、青くない染めの色をイメージしてみました。エジェクションポート内、つまりチェンバーの部分だけはキャロムのガンブルースプレーで青味を出し、アクセントにしています。グリップはタミヤやグンゼのラッカーで適当に塗装。確かレッドブラウンや艦底色などを適当にマダラになるよう吹き付けたような。

 たかだかエアコッキングガンにそんな力を注がなくとも…なんて言われそうなくらいの製作期間を費やしてしまいましたが、量産製品が存在しないこともあり、完成したときの感慨はなかなかのものです。イベントで入手した実物ホルスターに入れてみたり、トカレフやAKシリーズと並べてみたり、なかなか楽しませてくれています。
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